2013年3月20日水曜日

UE7proプロト作成 その1「位相編」

興味が出てきたとこの前書いたUE7pro、実は造ってました。


久々のアートワーク。今回は記事が2部構成になってますが、
後編ではアートワークについて色々まとめてみます。



色々画像を集めてみました。どうやら、コンデンサのほかにチップ抵抗が
使われている模様。下の写真で数値が分かりました。
数値的に抵抗が2015*2に、コンデンサが2389に、という
ネットワークのようです。値もごくごくオーソドックスなもの。

ドライバ構成ですが、ウーファーが2015だったものが後にCI22955に変わったみたいです。
おそらくUE10proディスコンのタイミングじゃないか?と予想しますが・・・
また、こいつのツイーターが2389ではなくED29689だったとするブログもあるようですw
もう何がなんだか。集めた写真では圧倒的に2389+2015という構成が多かったので、
今回は2389+2015を、「UE7proプロト」として作ろうと思います。


いつの間にか増えていたUE-Lowこと2015.
右上が読みにくいですが、UEのロゴがレーザー刻印で入っています。
おそらくこれが初期のロットで、その後は味気ない文字だけの
マーキングになってしまいました。ちなみにUE-Highこと2389も同様。
・・・誰向けの情報なんだこれはw


UE Super fi.5pro が2015+2389という構成なんですが、このUE7proはそれに2015を
1個追加した構成です。Extreme wave の説明を見ると、低域で+6dbの歪み向上が、とあります。
ドライバを並列にすると音圧が+6dbになるのですが、この説明が並列のことを言ってるのかは
不明です。ただこの数値を態々出すのは並列だから?とりあえず並列で造ってみました。


ところが、コイツの音があまり気に入りませんでした。
とにかく低域が厚い。厚すぎてギターがベースに聴こえてくるほどw
UE7proはベーシストやドラマー向けらしく低域の強いモデルだということは
確かなんですが、いくらなんでもコレは・・・


周波数特性を測ってみましたが、2K付近に大きなディップが。コイツが原因そうです。
ちなみに、下が2015のマッチングを調べたもの。データシートと見比べると、
僕の測った周波数特性は1KHzだけ右にズレてそうです。
なので、実際は1KHz付近に大きなディップがあるんでしょう。

Heir Audio 4.A
Mage-K ver.1

こういうディップは以前も目にしたことがあります。上が Heir Audio 4.Aで、下がMage-K Ver.1
僕がDTECを使わない理由は、高いという理由のほかにこのディップがどうやっても
解消できなかったからなのです。メーカー製のIEMはどうかと思いましたが、
4.AのDTEC+TWFKという構成でもディップが出てます。
このディップはネットワークを弄っても消えません。どうしたものか。

ディップの原因は位相ズレなんじゃないかと思い、次の2パターンを試してみました。


・2015*2の音導チューブを長くする。

音導チューブの長さで、ピークの現れる周波数を多少前後させることが出来ます。
今回は長くして、ウーファーをピークを低域側にずらしてみることに。


音導チューブを長くすれば中域が持ち上がり、多少ディップが解消されました。
ただまだディップとしてあらわれてます。谷に落ち込んでく形が気持ち悪い。
もっと長くすればディップが埋まるのかもしれませんが、30mmを超えると
たぶんシェルから飛び出しちゃいますw なので別の方法を。


・2015*2を逆相で接続する。

位相は今勉強中で、また計測する装置がないので勘でやるしかないのですが、
ディップのあたりで位相がかち合って相殺されてるのかもと思い、
2015の方を逆相にしてみました。


おお!ディップが埋まりました。てか埋まりすぎw
チューブの長さを通常に戻して・・・


最終的に20mmくらいで落ち着きました。マッチングもジャンク取りした割にはなかなか。
しかしコレの理屈、全く分かりません。コンデンサを通すと位相が90度ずれるらしく、
つまり2389が90度ずれた状態です。2015*2を正相にしようが逆相にしようが
正負の差こそあれ、同じだけ位相がずれるはずです。
なぜ逆相にしたらディップが埋まったのか。どなたか教えて(ry

で、実際聴いた見た感じはどうか。暑苦しかった低域もまとまりが出て、
何しろギターの音がきちんと聞こえるようになりました。
どちらかといえば、UE10proの低域を少し増やした感じ。
高域の煌びやか感はUE10proに比べると控えめ。同じドライバなのに不思議・・・。


樹脂で固めた後だったので、かなり難儀しましたが何とか逆相化。
フェイスプレートをパカッとやったのでヒーホーくんは消えてしまいました。
アートワークが決まらなくてIEMにフタが出来ない・・・という自作IEM勢のあるある。
取り合えず適当に塞いでマスキングテープで保護しといたら?w


次の記事ではアートワークについていろいろやってみましょう。