2013年5月27日月曜日

BAドライバのハイ上がり・・・シングルドライバIEMを題材として

ブログ読者の方から、シングルBAでIEMの作成を依頼されました。
ユニバーサルで多いシングルドライバのIEM.
ネットワークが無いこともしばしばなのですが(フルレンジBAを使っている為当たり前?)
同じBAドライバを使っていながら音の傾向が違うER-4シリーズは有名です。



ちなみに、ER-4シリーズの中身は何なのか、という議論は
ED9689→ED29689と、EDのモデルチェンジにあわせて中身も変わった、
ということで結論がでました。
sisyphusさんの ER-4S リシェル記事でも確認できますね。

2389やEDにはセンタータップがついていますが、これらを使うと
周波数特性に変化が見られます。


センタータップを使うとインピーダンスが上がるので
特性が変わるらしいです。これを確認してみましょう。


試用するBAは Sonion 2354. これに20Ωと51Ωを直列に接続してみます。


抵抗を繋ぐと当然能率が下がりますから、比較するために音量を調節して
1kHzで音圧が揃うようにします。すると、やはり抵抗値を増やすと
高域の音圧が相対的に上がっているのが分かります。

ハイ上がりがどんなものか分かったところで、こいつをシェル内に入れます。


2354は2389にセンターベントを設け、低域を増幅させたモデルです。
あまりハイ上がりさせてもせっかくのベントが勿体無いので、20Ω程度にします。

さて、今回の製作依頼ですが、インプレからではなく
既存のCIEMからの作成でした。


インプレの変わりにCIEMをシリコンに浸けることになるので
正直お勧めはしません。ただインプレが取りにくくなっている昨今、
すでにCIEMを持っている方で自作を始める方は、これもアリかもしれません。
ただし、製作の際は自己責任で。
ねり消しやマスキングテープ、プラ棒などで厳重にマスキングします。


フェイスプレート側を粘土に埋め込み、シリコンを流し込みます。
ただし、いきなり全体をシリコンに漬け込むとIEMが浮力で浮いてきちゃうためw、
2回に分けて流し込みます。1回目は写真くらいまでで止めて、
これが固まったら追加で全てつかるまでシリコンを流します。


こんな感じでシリコン型が取れれば成功。ちょっと傾いてたりしたら
浮力で浮き上がっちゃったって事なので失敗ですw


さて、元になったRoothのIEMですが、さすがに綺麗ですね。
今回は不透明のブラックでの作成依頼でした。
このまま形を完コピだとあまり面白くないんで、ちょっとした自己主張をしますw


一見ツヤツヤですが、逆光からの写真で分かるように
フェイスプレート面だけマットブラックになってます。
フェイスプレートの形も少々工夫しました。硬質でドライな印象を狙ってます。


カナル部分は少し掘り込んで、音導管を拡張してます。

 

今回作成したケーブル。中々取りまわしが良く耐久性もバッチリです。
色がグレーしかないのが難点ですが。製品に付属させるケーブルも
結構頭を悩ます課題だったりしますね。
あとイヤハンガーを付けるべきかどうか・・・

本格的な事業開始ですが、8月を予定しております。
それまでにやることが山積みですが、何とか一つ一つクリアして
開始にこぎつけますので、よろしくお願いします。